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ポスト団塊ジュニア考

世代の定義について
CHAPTER03. 住宅観の変化
■ 持ち家志向

ポスト団塊ジュニアの持ち家志向は強い。現実的な可能性として回答を求めた5年後10年後の予定では、真性団塊ジュニアの持ち家率は30代前半で26%、30代後半には47%となっており、これは現在の需要をリードしている団塊ジュニアと変わらないレベルである。

■ 家族の関係性を可視化する装置

ポスト団塊ジュニアの住宅観には、上の世代に比べて、家に情緒的な思い入れを持つという傾向がはっきり表れている。 「家とは何か」と住宅観を尋ねたところ、 「家は家族の思い出を刻むもの」という回答は団塊ジュニアを境に上昇し、ポスト団塊ジュニアになるとさらに高い割合となる。 「家は家族の絆の象徴」とする意見も若い世代ほど顕著に高く出てくる。

一方、「家は社会的信用やステイタスを表すもの」「一人前の大人の甲斐性として持つもの」のように、家を社会的規範としてみなす価値観は世代が上になるほど高く、団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアが、社会的な規範としてではなく、家族のために家族する場として住宅をみなしていることがわかる。

ポスト団塊ジュニアの住宅観は、さきほどみた、「確認する」「宣言する」「更新する」という、家族の関係性を維持していくコミュニケーションの形式と対応する部分が大きい。
確認する:「家は家族の絆を象徴するもの」
宣言する:「家はライフスタイルや個性を表現するもの」
更新する:「家は家族の思い出を刻むもの」

これらの意見は、いずれもポスト団塊ジュニアの住宅観を表している考え方で、住宅は家族の関係性を可視化する装置ということができる。

ここで興味深いのは、ポスト団塊ジュニアは「家は経済的な財産、資産」や「便利な機能で快適な生活を手助けする」についても高い割合で支持しており、住宅の情緒的な価値が高まるとはいえ、資産性、性能・機能は当たり前に重視されるということである。

■ 考えられる住宅の変化

カスタマー調査では、具体的な住宅商品のあり方(商品企画)に関わる質問は設けていないが、「住宅は家族の関係性を可視化する装置」という価値観から容易に想定可能な範囲で、ポスト団塊ジュニアに求められる住宅商品のイメージについて列挙しておく。

■ コミュニケーションを促進する、家族するネタを提供する家

まず想起されるのは、住戸内のパブリック(=リビング)に求められるものが変化するというイメージである。

彼らにとって家は、コミュニケーションによって維持される家族をする場であるので、家は家族のコミュニケーションを活性化するネタを与えるものであるべきだ。従来はリビングのテレビがその役割を果たしていたし、現在のほとんどの住戸が、広いリビングルームに大画面テレビとソファセットを置いてと、そのように設計されている。しかし、メディアの個人化という状況を踏まえると、テレビを中心としたリビングは家族団欒の求心力を失っていくことが考えられる。家族の各人は、PCや携帯によって個別にメディアに接しているのだ。

そうなると、テレビに替わって何が家族団欒(=コミュニケーション)の求心力となるのか、その有力なファクターとして考えられるのは「食」である。例えば、藤原和博氏が主張するダイニング中心主義は、 誕生日、クリスマス、記念日など、食を中心にした家族イベント盛んなポスト団塊ジュニアの実態を踏まえると非常に説得力が高い。さらに、食を起点にイメージを広げると、ポスト団塊ジュニアの家庭の特徴である家族の家事協力に即して、キッチンを家族の場にしていくというアイデアも考えられる。

その他にも、コミュニケーションのネタを提供するという観点で考えると、プライベートとパブリックの境界をあえて曖昧にして、本来のパブリックスペースであるリビングルームに、本来は個室にあるべき個人的なものを持ち込むというコンセプトが考えられる。例えば、リビングルームに大きな本棚を設置し、そこに家族全員分の蔵書や雑誌をおけば、家族各人の関心が共有されコミュニケーションのネタになりやすいし、蔵書や雑誌の変化・蓄積は家族の成長や思い出を可視化する装置になる。家族のコミュニケーションのネタになればと個室の中を見渡していけば、パブリックに持ち込める個人的なモノは他にも見つかるだろう。

ここでは、目的的にも紙面的にもスキル的にもこれ以上を語ることはできないので、専門的な研究により、新しい家族のあり方に即した新しい住宅設計のあり方が提示されることを期待したい。

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