ところで、団塊世代の名付け親である堺屋太一氏は、「団塊というのは、鉱物用語で『ノジュール』の訳語です。堆積岩中に周囲と成分の異なる物質が棒状または偏平状に固まっているところを指します。だから、『大きく固まっている存在』というだけではなくして、『密度が高くて周囲と異なる特質を持つ』という意味が含まれています」(『団塊の世代「黄金の十年」が始まる』(文藝春秋)より)と述べている。
団塊世代はそのボリュームの厚さだけがクローズアップされがちだが、実はそれに加えて前後の世代とは異質な考え方に基づいて行動するという特質を持つ。すなわち、これまでの「高齢者/シニア」というイメージだけでは捉えきれないことが、この世代の存在感をいっそう高め、世に幾多の団塊世代論が提出されることになる。
堺屋氏によるこの定義によれば、団塊世代は周囲とは異質だが、世代の中は同質な「ひとかたまり」という解釈も成り立つ。しかし、三浦展氏(「下流社会マーケティング/日本実業出版社」)や佐藤博樹氏ら(団塊世代のライフデザイン/中央法規)が分析してみせるように、この世代を「ひとかたまり」として理解するにはその内実は分散が大きい。生まれて約60年、社会に出てからも約40年のそれぞれの人生を経て、その価値観は多様化しており、また各人の経済的な裏付けの違いもあり、今後の生活に対する見通しも様々である。
今後の住み替え行動に関して言えば、住宅双六と言われたステップアップパターンに従い皆が同じような住まいを志向していった彼らの若い時の動きは、もはや再現されない。
言うまでもないが、彼らの今後の住まいのニーズは、彼らがこれからどのような暮らしを望んでいるかによって事後的に規定される。仕事や子育てなどの制約条件が多い若い世帯とは異なり、さまざまな面で自由度が高く、各人・各夫婦の価値観やライフスタイルが直接的に投影されるのである。
文:主任研究員 島原万丈